推薦の言葉

スゴイ、としか言いようがない。

漠然と思い描き、実現することを願っていたものが、そのままここにある。

われわれに先立つ三世代が格闘し、模索し、そして生みだした目に見える芸術の系譜が、家族の分厚いアルバムのようにここにある。

イメージの想い出が、雨降り映画のごとく、 あるいは鮮明すぎる鋭さをもって迫りくる。

視覚芸術の蓄積を具体的な手触りをもって 私たちはようやく継承することができる。

文化庁長官 青柳正規

本書のねらい

日本の近現代芸術の100年、および国際化の現代を考えるとき、幕末から明治の開国以後、西洋文化を摂取したモダニズムの前衛的な芸術と、伝統を重んじ継承する日本的な芸術の両様の展開を踏まえることが重要である。

本書では、そうした点を考慮し、洋画と日本画、前衛と伝統、画壇と在野、批評と市場など、日本独自の二重構造のなかで展開してきた芸術を考察・検証する。広く日本の20世紀芸術の多様性を紹介することが、これからの新たな日本現代芸術史の方向を探ることになる。

本書のタイトルは「美術」とせず「芸術」とした。〈絵画〉〈彫刻〉〈版画〉〈工芸〉を中心としながらも、上記のジャンルに加え、〈挿絵・イラスト〉〈写真〉〈書〉〈いけばな〉〈ミュージアム建築〉〈デザイン〉〈実験映像・アニメーション・マンガ〉〈パフォーミング・アーツ〉などの項目を設定している。視覚芸術全般にわたり、それらの相互のかかわりのなかで展開してきた歴史的な流れを捉えようとするものである。

本書の特色

  • 日本の20世紀芸術を1巻でまとめた全集。 現代芸術の前史である近代(明治・大正)を序章とし、1930年代以降を10年ごと7章で構成、その10年間の芸術的動向をジャンル横断的に俯瞰することで時代の特徴を探った。
  • 20世紀の視覚芸術ジャンル全般を把握できる。
  • 研究者による最新の研究成果を反映。
  • 日本近現代芸術の事典となりうる内容をもつ。各章ごとに、章解説と名鑑的作家解説・代表作のカラー図版を中心に組み立て、各時代の主要事項コラム(各章10本前後)を掲載。
  • 名作鑑賞に適う的確な大きさのカラー図版を掲載。
  • 読者の次へのステップとなる文献の紹介が充実。
  • 巻末に100年芸術年表・作品リスト・人名索引を付す。
  • 目次
  • 刊行にあたって
  • 酒井忠康
  • 序章
  • プロローグとしての
    日本近代美術史
  • 塩谷 純
  • 1章
  • モダニズムと古典
  • 大谷省吾
  • 2章
  • 戦時下・占領下の美術家たち:
    不屈の創造精神
  • 杉山悦子
  • 3章
  • 伝統の継承と新しい創造力
  • 橋 秀文
  • 4章
  • 反絵画・反彫刻からの展開
    物質から不在へ
  • 光田由里
  • 5章
  • 1970年代美術における
    個と集団の論理
  • 中井康之
  • 6章
  • ポストもの派の台頭から
    バブル崩壊まで
  • 村田 真
  • 7章
  • バブル崩壊と
    景気後退の時代の美術
  • 半田滋男
  • 終章
  • 2000年代の表現とは
  • 半田滋男
  • 100年芸術年表
  • 橘川英規
  • 作品リスト・人名索引

「日本の20世紀芸術」

 東京美術倶楽部 編 | 酒井忠康 監修

 2014年11月刊行 | A4判上製/総ページ528

 掲載作家:1100 余名 | 掲載図版:1300 余点

刊行記念特別価格( 2015年3月末日まで)

本体価格 26,000円+税

※2015年4月1日以降(本体価格29,000円+税)

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「刊行にあたって」より

21世紀にはいって10年以上がたった。

西欧文化・芸術の摂取に始まった日本の「近代化」は、やがて国際的な同時代性をもつものになっていく。そこには必然的に時代の新しい潮流と関連をもつ前衛的な芸術と、「近代化」の咀嚼の過程に付随して起こった、いわゆる伝統回帰=日本の文化・芸術の見直しとの、複雑な絡み合いが生じて展開するところとなった。

明治以降100年の日本の現代芸術史を、広く俯瞰的、立体的に捉えて『日本の20世紀芸術』として刊行するのは、ある意味で将来の芸術史研究にも貢献することになるだろう。

未来を図るために役立てることの可能な過去の記憶=美術作品の貢献を再生させるという、想像力を養う必要があり、本書の編纂・刊行にはそうした思いの一端が秘められているのである。

いずれにせよ、専門家や研究者たちだけでなく、美術に興味を覚えて、やがて美術愛好者になるだろう人たちにも、広く本書を読んでほしいと思っている。


監修者、美術館連絡協議会理事長 酒井忠康

主な執筆者

  • 塩谷 純(東京文化財研究所)
  • 大谷省吾(東京国立近代美術館)
  • 杉山悦子(世田谷美術館)
  • 橋 秀文(神奈川県立近代美術館)
  • 光田由里(渋谷区立松濤美術館)
  • 中井康之(国立国際美術館)
  • 村田 真(美術ジャーナリスト)
  • 半田滋男(和光大学)
  • 飯沢耕太郎(写真評論家)
  • 藤崎圭一郎(東京芸術大学)
  • 菅原教夫(読売新聞)
  • 國吉和子(舞踊研究家)
  • 滝沢恭司(町田市立国際版画美術館)
  • 西村智弘(映画研究家)
  • 三頭谷鷹史(名古屋造形大学)
  • 今井陽子(東京国立近代美術館工芸館)
  • 谷口朋子(町田市民文学館)
  • 三上 豊(和光大学)
  • 神山亮子(府中市美術館)
  • 木田拓也(東京国立近代美術館工芸館)
  • 橘川英規(東京文化財研究所)
  • 勝山 滋(平塚市美術館)
  • 横山勝彦(金沢美術工芸大学)
  • 中村 麗(インディペンデント・キュレーター)
  •  
  •  
  • ほか